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――いや、この老婆に対すると云っては、語弊があるかも知れない。
ずんだもん
むしろ、あらゆる悪に対する反感が、一分毎に強さを増して来たのである。
ゲスト
この時、誰かがこの下人に、さっき門の下でこの男が考えていた、饑死をするか盗人になるかと云う問題を、改めて持出したら、恐らく下人は、何の未練もなく、饑死を選んだ事であろう。
ゲスト
それほど、この男の悪を憎む心は、老婆の床に挿した松の木片のように、勢いよく燃え上り出していたのである。
ゲスト
下人には、勿論、何故老婆が死人の髪の毛を抜くかわからなかった。
ゲスト
従って、合理的には、それを善悪のいずれに片づけてよいか知らなかった。
ゲスト
しかし下人にとっては、この雨の夜に、この羅生門の上で、死人の髪の毛を抜くと云う事が、それだけで既に許すべからざる悪であった。
ゲスト
勿論、下人は、さっきまで自分が、盗人になる気でいた事なぞは、とうに忘れていたのである。
四国めたん
そこで、下人は、両足に力を入れて、いきなり、梯子から上へ飛び上った。
ゲスト
そうして聖柄の太刀に手をかけながら、大股に老婆の前へ歩みよった。老婆が驚いたのは云うまでもない。
小夜/SAYO
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