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すると白い男が、こう云った。 「旦那は表の金魚売を御覧なすったか」 自分は見ないと云った。

もち子さん

白い男はそれぎりで、しきりと鋏を鳴らしていた。すると突然大きな声で危険あぶねえと云ったものがある。

玄野武宏

はっと眼を開けると、白い男の袖の下に自転車の輪が見えた。人力の梶棒かじぼうが見えた。

琴詠ニア

と思うと、白い男が両手で自分の頭を押えてうんと横へ向けた。自転車と人力車はまるで見えなくなった。

九州そら

鋏の音がちゃきちゃきする。 やがて、白い男は自分の横へ廻って、耳の所を刈り始めた。

櫻歌ミコ

毛が前の方へ飛ばなくなったから、安心して眼を開けた。粟餅や、餅やあ、餅や、と云う声がすぐ、そこでする。

中国うさぎ

小さい杵をわざと臼へあてて、拍子を取って餅を搗いている。

麒ヶ島宗麟

粟餅屋は子供の時に見たばかりだから、ちょっと様子が見たい。けれども粟餅屋はけっして鏡の中に出て来ない。

冥鳴ひまり

ただ餅を搗く音だけする。 自分はあるたけの視力で鏡の角を覗き込むようにして見た。

春歌ナナ

すると帳場格子のうちに、いつの間にか一人の女が坐っている。

中国うさぎ

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